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「なんで順平見つける前にアイツみつけちゃうんだよバカ!!!」
「呼んだ?」
「ウワー!!!出た!!真人!!!」
「え?なんで俺の名前知ってんの?」
「あ」
何故だ……私はただ、順平を探していただけなのに……!!

~~〜~~~〜~~

そう、それは数分前のこと。
私は順平を探すため、いつものようにキネマシネマ付近を散策していた。

「ふっふふ〜ん……ん?」
路地裏に人影……?もしかしたら順平かも!

……この選択が、間違いだった。

路地裏の人影と目が合う。

本能が警鐘を鳴らす。

あ、これヤバい。

「君……俺のこと見えてる?」

動け、動け、動け!!

「……ッ!!」
「あ、逃げた」
「はぁッ、はっ…」

こんなに命懸けで走ったのは多分前世を含めても初めてだと思う。私ってこんなに足早かったんだなぁ。これが火事場の馬鹿力ってやつなのか……

「はぁ〜〜〜……なんで順平見つける前にアイツ見つけちゃうんだよバカ!!!」
「呼んだ?」
「ウワー!!!出た!!真人!!!」
「え?なんで俺の名前知ってんの?」
「あ」

ホントにバカ……自分のバカ……