ピーンポーン
チャイムの音が部屋に響く。
「んぇ……あといちじかん……」
ピーンポーン
「うるさい……はいはーい、誰ですか」
誰だよこんな時間に……
私は苛立ちを隠さず勢いよくドアを開く。それと同時に思い出したことがある。そういえば私まだパジャマだ。
「や。おはよう」
「……!?!?」
一気に目が覚めた。パジャマのまま出た恥ずかしさも吹っ飛んだ。
何故ならそこには胡散臭い笑みを浮かべた、如何にもやばそーな新興宗教開いてそうな不審者がいたからだ。
「ッスー……ええと、これから二度寝かますんでお引き取り下さい……」
目を逸らしながら私は恐る恐る扉を閉める。
え、なんでいるの?こわ…
ガタッ!
「えっ」
扉に目をやると、目の前の男の手が扉を閉めるのを阻止していた。
「つれないな」
「魚じゃないので!!」
テンパりすぎてよく分からん返しをしてしまった。
てか力つっっっよ!!こっち両手なのにあっち片手なんですけど!?やばい、このままだと扉がこじ開けられ……!
「おわっ!?…へぶっ」
扉が無理やりこじ開けられた反動で思いっきり前に躓き、そのまま目の前の男に直撃した。
「大丈夫かい?」
「チッ」
「うわ舌打ち。酷いなぁ…私傷ついちゃったよ」
思わず舌打ちしてしまったが後悔はしてません。私を叩き起こした罪は重いので。
目の前のやつがしくしく…みたいなジェスチャーをしているが、ツッコんだら負けな気がするので無視。
「じゃ、失礼するよ」
「失礼するなら帰ってくれません?」
いつものポーカーフェイスに戻ったアイツはしれっと私の家に入っていく。
というかさっきのくだり、真人のときもやったな……
「ていうか今何時だと思ってるんです?」
「10時あたりじゃないかな」
「いやいやまさか…」と怪しみつつ、スマホで確認してみると本当に午前10時だった。
え、私そんなに寝てたの?
「えーっと…とりあえず着替えるので出てってくれます?」
「別に私はこのままでも構わないけれど」
「私が構うので出てってくださーい」
自分から動く気はなさそうなので私が押し出してやろうとしたがびくともしない。
いっそのこと不法侵入で通報してやろうか。
呆れた顔で見つめていると、「はいはい分かったよ」と言って部屋から出ていった。
「今のうちに鍵閉めとくか……」
「鍵閉めたらドア蹴破って入るからね」
「やめろ私の敷金が」
敷金を人質にするのは勘弁してくれ!!こちとら親の仕送りでやりくりしてるんだぞ!!