5-1

「…………よし!レポート終わったー!!はぁ〜疲れた〜…」
ごろん、と伸びをした体勢のまま畳に寝転がる。
現在午前12時過ぎ。いつもより早めに起床した私は課題のレポートをまとめていて今終わったところだ。ちなみに私は順平をできるだけ多くの時間帯に探すため、通信制高校に通っている。…が、未だに順平と会話どころか後ろ姿も見たことがない。私の想像というか予定では今頃順平と親密になってるはずなんだけど。もう引っ越してから数ヶ月たってるんだけどな…。ここまで見つからないことある?もしかして私、そういう天与呪縛かなんか持ってます?
ぐぅ〜〜……
私の腹から間の抜けた音が鳴る。そういえば昼食がまだだった。でもお腹空いてからご飯作るのめんどくさいなぁ。……ってことで今日の昼食は外食にしよう!早起きしてレポートを終えた自分へのご褒美だ。そして私はどこのお店にしようかな〜と考えながら鼻歌混じりに外出の支度を始めた。

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「うんまい……!」

昼食は悩みに悩んだ末、私はハンバーガーを食べることにした。チーズがいっぱい入ってるやつね。そして何よりこのお店はポテトが美味い!!これがコーラとよく合うんだ……!!あ〜幸せ……!!お腹と心が潤う…
ズー……ズゾッ
あ、コーラなくなっちゃった。ポテトに手を伸ばすとあと残り1本。あれ、もうちょっと残ってなかったっけ?まぁ、美味しいものは食べるスピードがついつい早くなっちゃうよね。そんなことを考えながら私は最後のポテトに手を伸ばし口に運ぶ。

「ばぁ!!」
「うあ”っ!?なに!?」
突然の声と目の前に現れたツギハギ顔に驚き、つまんでいた最後のポテトをポロッと床に落としてしまった。

「わ、私のポテト……」
ついでに結構な声量が出てしまったので周りの人からの視線が痛い。それもこれも全部……目の前のヤツのせいだ。

「アッハハ!変な声!周りの人間から変な目で見られてるよ」
「誰のせいだと思ってんだこの……!」

真人に詰め寄ろうと席を立ったところでハッと我に返る。このまま会話を続けてたら虚無にキレてるヤベーヤツだと思われちゃうじゃん。ここ家から近いとこだしそれは避けたい…一刻も早く退店しなければ……!幸い昼食はほとんど食べ終わっていたので、速攻で店から出た。
…のだが、店を出てからも真人はずっと私に着いてきた。

「……なんの用ですか?」
「ん?特に何もないけど」
「じゃあ着いてこないでもらえます?」
「やだ!」
「うわ即答……」

満面の笑みで真人が答えてきた。
殴りたいこの笑顔とはまさにこの事だな、とため息をつきながら私は思った。

「今忙しいんでまた今度にしてくれます?」
「え〜?」
め、めんどくせぇ〜〜〜〜〜…!!なんなんだコイツ、子供かよ!?子供なら子供らしくもっと可愛げのあるパワーであれ!!…いやいや、落ち着け私。相手は生まれたばっかりの呪霊ガキ。ここはひとつ、大人の余裕ってやつを見せてやりますかね!

「ね、どこ行くの?」
「別に着いてきても何も面白いことありませんよ」
「って言われるとついて行きたくなるよね」

この天邪鬼め……よし、ここは上手く人を利用して撒く作戦でいこう。人通りの多いところを経由して目的地へGO!名付けて急がば回れ作戦だ!


・・・数十分後
「はぁっ、はっ………」
「ねぇ、結構歩いたけどどこに行くつもり?」
「あなたこそどこまで着いてくるんですか!!」

全ッ然撒ける気配がない……!!というかこっちの体力が持たない。足疲れたし息も切れてる。しかも真人を撒く事に必死になりすぎていつの間にか私も知らないところに来ちゃったし。しかも人通りも少ない。作戦はいったいどこにいったんだ。しかたない……とりあえずここはスマホのマップ使おう。そう考えた私はポケットからスマホを取り出した。

……と思ったんだけどな。何故か私の手からスマホが消えていた。

「ざんねーん」