8-2

「うわっ……」
「なにしてんの?」

見てない。私は何も見ていない。ガッツリ目が合ったとか、話しかけられた気がするのは気のせいだろう。ということで私は早急にその場を離れる!
しかし逃げ出そうと踏み出した瞬間グッと後ろに引っ張られてしまった。

「ぐえ”っ」

「ちょっと、無視すんなよ」
「…私お腹すいてるんで早く帰りたいんですけど」

あと襟ぐりを思いっきり引っ張るんじゃない!首が絞まる……!

「ふーん、じゃこれあげるよ。さっき貰ったんだよね」

そう言って渡してきたのは缶ジュース?いやちがう。これ、お酒じゃん。

「え、いらないですけど……」
「俺もいらなーい」
じゃあなんで貰ったんだよ……と呟くと君に嫌がらせするため、という最悪の回答を頂きました。ふざけんな。

「君って未成年だからこれ飲んじゃダメだし買えないんでしょ?」
「そうですね」
「飲んでみたくない?」
「……べつに、いいです。」
「はいウソ。気になるんでしょ」
「…………」
確かに気になるっちゃ気になるけどなんか裏あるだろ絶対!!あと貰った理由私に嫌がらせするためって言ってる時点でもうアウトなんだよ!!いや、嫌がらせじゃなくても私が酒飲んだらアウトなんですけど!

「確かに気になりますけど、法律的にアウトなんで飲みません!!さっさとどっか捨ててきてください!」
「そもそもさ、なんで飲んじゃダメなの?」
「なんでって……それは……分かんないですけど……」
「じゃあ飲んでみたら?気になるんでしょ?」
「いや、でも……バレたらまずいし」
「大丈夫だって。飲んだらその缶適当に捨ててくるからさ。ね?」

なんか今日押し強くない?いや、いつもの事か……っていうかこれ、YESって言わないと家に帰してくれないやつ?私もう腹減ったから帰りたいんですが?あとめっちゃ暑いし。
……もう面倒臭いから飲むって言おうかな。致し方なく。お酒ちょっと飲んでみたいし。別に私のせいじゃなくて真人のせいだし。私は悪くないし……!!

「分かりました。飲みますよ……ちょっとだけですからね」