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「それじゃあ改めて……私は夏油傑だよ。よろしくね」

「他人の名前名乗るのってどんな気持ちなんですか?」って喉まで出かかったが耐える。
これ以上私が待ってる情報を知られちゃったらヤバそうだし、気をつけないと…

「ねぇ、私が名乗った瞬間すごい嫌な顔したけどなんで?」
「転りんねです。何時ぐらいにお帰りになられます?」
「あ、無視?まぁいいけど…。短くて30分くらいかな?」

え!?30分もこいつと対面して会話しなきゃいけないんですか!?無理無理無理!短くて30分は短くない!!長いって!

「で、なんの用ですか?私これから予定があるんですけど」
「君さっき二度寝するとか言ってなかった?」
「だから!これから!二度寝する予定があるんですよ!」
「あっそう…。で、何の用かだけど…昨日真人から君の事を色々聞いてね、興味が湧いたから1度君と話をしてみたいと思ったんだ」

興味?あれ、なんか勘づかれてない?やばくない?計画の邪魔だからって消されない……?無理。一刻も早くお引き取り願いたい。ぶぶ漬けは無いが代わりに実家から届いた漬け物を出してやろうか。

「へ、へぇー……そうなんですねぇー……」
「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。別に君を傷つけるようなことをするつもりは無いからね」
「いやいや、数ヶ月後にテロ起こそうとしてるやつの言葉なんか信じられないですよ」
「本当に知ってるんだ」
「あっべ」

じ、自分のバカー!!!!!!!!いや、ほんとにバカ。信じられないほどアホ。やっちまったよこの野郎。思ったことそのまま口に出すんじゃない!!数分前に気をつけようって思ってたじゃん!!!

「ふ、フフフッ……」
「何笑ってんですか!!!!」
「いや、面白いなと……フフフッ」

目の前の失礼な奴が口元を手で多いながらくつくつと笑っている。
ほんと腹立つなコイツ……!!

「〜〜ッ!!それ以上笑ったらその縫い目抜糸してその糸で口をかがり縫いしますよ!!」
「物騒だね」
「いやあんたには言われたくない選手権第1位」
「どうもありがとう」

いや褒めてねぇよ。っていうかノリ良すぎるだろ。逆に怖いよ。
コホン、とわざとらしく咳払いすると夏油(偽)はまた話を始めた。

「いやぁ…まさか本当に知ってるなんてな。君、一体どこまで知ってるだい?」
「別に詳しくは知りませんよ。ほんとに…少しだけ知ってるだけです」
「少し、ねぇ。そこを判断するのは君じゃないと思うけどな」

目があった瞬間背筋がゾクッとした。ピリッとした冷たい空気が流れる。……今日こそ私、死ぬ?