6-3

「そういえば夏油、顔合わせって言ってたけどなんで顔合わせる必要があんの?」
真人がストローでジュースをブクブクさせながら問う。

「確かにまだ聞いとらんかったな」
「ふぁにはくらんれんですか」
「あぁ、そういえば言ってなかったね。あと君は食べてるものを飲み込んでから話そうか」

口の中の牛タンをしっかり味わいながら噛み締めて飲み込む。確かにさっきはちょっと行儀悪かったな、と心の中で少し反省した。美味しかったからもう1枚食べよ。

「君達に彼女の術式の強化を手伝って貰いたいんだ」
「この小娘の術式の強化だと?何故儂らが手伝わなければならんのだ」
「一応戦えるようにしておきたくてさ。最低限でいいんだ」

いつものポーカーフェイスで羂索は淡々と理由を述べていく。一方漏瑚は気に食わない様子で頭のマグマをグツグツといわせていた。いや別に真人だけで十分では?もしかしてコイツ私のことを集団リンチしようとしてない!?やだよコイツだけでもめんどくさいのに…!クソ、話に入ろうと思ったけどこの牛タンが歯ごたえありすぎて噛みきれない……!

「そもそもこの小娘は信用ならん。貴様、呪術師の回者ではあるまいな」
「へっ!?」
「そこは心配しなくていい。すでに縛りを結んであるからね。」

いや、高専側と関わりがあればどれほど良かったか!!全くもって面識ないから助けを呼ぼうにも呼べないし!!今はもう縛り結ばれちゃったからもう助け呼べないし!!口滑らせたら最悪死ぬし!!

「だとしても貴様がやればいい話だろう。わざわざ儂らが手伝う義理はない」
「私もそうしたいのは山々なんだけどね……花御はどうかな」
「■■■■■」
「あぁ、実は彼女の術式私も詳しくは知らないんだよね」
「はァ!?夏油貴様そのことも知らんのに儂らに頼もうとしているのか!?」
ボン!と漏瑚の頭の火山が大きな音をたてて噴火し、辺りに熱気が立ち込める。暑すぎて肌がピリピリする…。

「そもそもこんなヤツを手駒にしたとて儂らに何の得がある!!」

いやそんなの私が1番知りたいんですが!?!?

「まぁ手駒としては微妙だけどうっかり高専側に取られちゃったらまずいかもね」
「どういうことだ?」
「りんねはさ、無意識に魂の輪郭を知覚してるんだよ」
「■■■■■■■■」
「そういうこと。人に自分の魂を触れられるって初めてだったから新鮮だったよ」
「これを機に魂弄られる人の気持ち考えてみてくださいね」
「なんで?」
「…………」

流石にその返答にはドン引き通り越して呆れた。やっぱり分かり合えないんだな、人間と呪いって……。

「多分りんねの術式は対象を別のものに変形、もしくは変換させる術式なんだろうね。でもまだその対象がなんなのかがわかってない感じ」
「それならば手当たり次第に術式を使えば分かるのではないか?」
「んー……そうなんだけどさぁ、コイツあれ以来術式使えてないらしいんだよね」
「「………」」
無言で一斉にメロンパンと呪霊たちがこちらを何か物言いたげな目で見てきた。

「え、え?……あ、なんかすみません……?」
数秒間沈黙が続いた。え、私が悪いのこれ?

「まぁ最初はそんなものだろうし、焦らなくても大丈夫だよ。まだ数ヶ月あるから」
「いや、まぁ……あと数ヶ月、ですけど……」

まだ数ヶ月って私にとってはあと約1ヶ月しか残ってないんだが?