「んー、このままキミをいたぶるのもいいけど、それだけじゃちょっと物足りないかな」
床に突っ伏している私を見下ろしながら、真人はニヤニヤしながら最悪の思考を巡らせている。マジでなんなんだコイツ。ほんとうに怖い。おうちに帰りたいと思ったけどそういえばここが私の家でした。現実に安地は無いらしいです。泣いていいか?
「早く帰ってくれ……」
「じゃあ、俺がこれから質問していくから、ちゃんと答えられたら帰ってあげてもいいよ」
「え?」
「でも、ちゃんと答えられなかったら…んー、とりあえず吐くまで君のこと殴って…ついでに魂も弄っちゃおうかな?どう?君でもすぐに理解できるくらいシンプルでしょ」
「ついでで人の魂弄るなよ……」
完全に舐めてやがる……最後の一言は本当に余計だったけど、質問に答えさえすれば帰ってくれるって真人にしてはなんか優しくないか?答えれば腹パンもなしってことでしょ?……いや、でもあの真人だよ?絶対なんか裏があるに決まってる。もしかしたら、知られたらまずいこと聞かれたり…?それで原作の時空からズレて呪霊側が勝ってしまったりなんてしたら大戦犯になってしまわないか!?
「それ、やんなきゃダメですか……」
「答えたくないってことでいい?」
「あっ、いやいや、そういうことではなくって…」
ざんねんながら拒否権は無いらしい。じゃあもう当たって砕けるしかなくね!?痛いのは嫌だけど世界を救うためなら腹パンぐらい安いもんなのかも!?……よし、いっちょ世界救っちゃいますか……!
「分かりましたよ、やります!!その代わり、マジで帰ってくださいね!?あともう部屋に入ってくるのもナシで!!」
「アハハ、いいよ。交渉成立ね」
交渉っていうかお前が脅したんだろうが。さて、一体どんな質問がくるのか……なるべく、重要な情報とかはやめてくれ…なるべく浅い質問であってくれよ……
「それじゃあ君に質問」
「君ってさぁ、結局なんなの?」
「…ん?」
まてまてまて!?これってもしかしなくてもまずいのでは!?転生者ってバレた!?っていうかそりゃそうだよね!?なぜか知ってるはずのない情報ポロッと出しちゃったもんね!
「初めて見たときはただの人間だと思ったけど、やっぱりおかしいよね」
「お、おかしい……?」
「前から気になってたんだよ。キミの魂のこと。でも、まさか2つの魂が融合して1つになるなんて思わなかったなぁ…俺も今度試してみよっと」
「ゆうごう…?」
あれ…?なんか全然知らない話出てきたんですけど……
「でも、それっておかしいよね。俺だったら術式で魂と魂を融合させることは可能だと思うけど、これに関しては俺なんにもしてないからさ」
「はぁ?真人じゃなかったら誰が……」
「そりゃあ、君じゃない?」
「私…!?いやいや、私じゃそんなことできないって……ていうか、魂融合させたら爆発とかするんじゃなかったっけ!?これ私大丈夫なの!?」
「…へぇ、そうなんだ?」
「そうなんだも何も、真人がやって……なかったっけ…」
「ふーん?」
あ………これ、やったか?私、なんかやっちゃいました……?そういえば多重ナントカって、渋谷事変とかで出てきた技だったっけ……?これ、敵にヒント与えちゃってない?ヤバくない?待って、これどうしよう。なんか目眩してきた……
とりあえず、なんか誤魔化さなきゃ。なんか、なんかってなんだ。クソ、頭まわんねぇ……
「は、ははは…」
「あれ、いつもみたいに誤魔化さないの?」
「誤魔化すってなにがです…?」
「アハハッ!ホント、下手だよね」