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真人に捕まってしまった私はなんかよく分からんところに連行されました。なんか薄暗くて水が流れてるとこ。あれ?もしかしてここじゅんぺと真人がなんか話してたとこ!?聖地巡礼じゃん!!わー!!…とか考えて気を紛らわす。着いてきて、とだけ言われたんだけど気まずいというか怖いというか…あっちも何も喋んないのでずっと無言です。こわ………

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数分歩き、少し開けたところに出るとようやく目の前の彼がやっと口を開いた。

「俺の名前知ってるってことは夏油の知り合いだよね?」
「し、知り合いではないです……こっちがあなた達のことを一方的に知ってるだけで…」

あ!今私いらん事喋った!バカ!!

「ふーん?どうやって知ったの?面白そうだし聞いてあげるよ」
「あー…えっと…だいぶ特殊なので説明しづらいというかなんというか……」
「特殊な方法ね…キミの術式ってこと?」
「術式なのかはよくわかんないんですけど……簡単に言うとこの世界に産まれる前からその記憶があるっていうか」
よし、嘘は言ってない。嘘は言ってないぞ…とりあえず早く帰してくれ。死にたくない。

「この世界って…なんかひっかかる言い方するね。もしかして別の世界から来たとか?厨二臭いね」
「厨二臭いと言われましても本当のことなので……」

よしよし、いいぞ……。痛いやつみたいになったけど死ぬよりはマシだ………

「まぁ俺達のこと知ってるってことは事実だしね。じゃ、1個質問させてよ」
「あー……答えによれば死ぬとかありますか」
「かもね」

オワタ……………15年周期で死ぬんかワレ………

「君ってさぁ…呪術師?しらばっくれても嘘ついても無駄だからね」
「一般人です……多分」
「ハハッ俺のこと知ってる時点で一般人じゃないでしょ」
「ですよねぇ……」
もうダメだぁ…殺される…ストックにされる…誰か助けて…

「でも嘘ついてる感じは無いんだよね。めっちゃ怯えてるけどさ」
「どうなっちゃうんですか私……」
「んー…見たところ君術式あるっぽいし、面白そうだから俺の玩具にしちゃおっかなー」

ん?術式?

「え、術式あるんですか?」
「うん。あるけど…もしかして気づいてなかったの?」
「そう、です……」

え!?マジで!?術式あったの私!!??

「じゃ、認識できるようにちょっといじってあげるよ」
「え」
「無為転変」
「……っ!?」

痛っ……くはない?いや、でもなんか気持ち悪い……うぅ……
なんだろう、臓器を触られてるみたいな感じ……いや、実際に触られたことないけど。

「これで使えると思うけど、どう?」
「なんか不思議な感じ、です…で、私の術式はどんなのなんですか?」
「さぁ?」
「えぇ……」

え、勝手に弄っといて教えてくれないのかよ!?というか吐きそう……気持ち悪い……

「それよりもさぁ気になることがあるんだよね」
「なんですか?」
「キミの魂だよ。見た目は普通なんだけど中身がなんか違うんだよね」
「な、なるほど?」
「魂の中にもう1つ魂が入ってるんだよ。で、そこには一切呪力を通してないっていうか、受け付けてないっていうか…非術師にも一定の呪力は流れてんのにさ」
「あー……なるほど」

うーん。分からん!分かるようで分からない!とりあえず転生特典的なやつ?何に役立つのかわからんけど……

「まぁ、そこ以外は特に変わってないから術式は引っ張り出せたよ たぶんね
で、キミは晴れて俺のおもちゃだよ」
「え」

目の前のやつが両手をヒラヒラさせてニコニコしている。
え?何言ってんのコイツ????

「さっき言ったじゃん聞いてなかった?」
「……私に術式があるということに気を取られて全く聞いていなかった……」
「じゃ、夏油達のとこに行こっか!」
「え!?ちょ、まっ!!抱えないでこの体制キツイ!!吐く!!!」

私は真人に抱えられて拉致された。
何度も背中を叩いたり大声を出したりしたが全然止まってくれなかった。
揺れが酷いし、その衝撃で真人の肩と私の腹が当たって吐きそうになった。
いっその事コイツの服に思いっ切り吐いてやろうかと思ったけど、吐いたら殺すって言われてしまった。クソ……私、これからどうしよう。